「アーチャー/イシュタル 1/7スケールフィギュア」クリエイターインタビュー
Special Interview

3月31日(土)まで復刻受付中の「Fate/Grand Order」より登場の美と金星を司る女神である「アーチャー/イシュタル」、クリエイティブディレクターである後神智昭に立体化の経緯や制作時のこだわりを伺いました。


―― 01. FGOのキャラクターは多岐にわたりますが今回イシュタルを選んだ理由は?

後神
私もFGOを楽しんでいるのですが、ゲーム内に登場したイラストを見た瞬間に、「立体化したい」と思いました。 自信に満ち溢れた表情や髪のなびき方、装飾など、立体化した際に非常に映える要素がたくさんあり、とても大きく、 再現に苦労しそうな主武装であるマアンナも完全再現できれば、イシュタルとマアンナの対比がとても魅力的なフィギュアになってくれると感じました。 また、ゲーム内の第七特異点での活躍と、その自由奔放な女神としてのキャラクター像を見て、よりイシュタルに惚れ込み、立体化を決めました。





――見どころも多い今回のフィギュア、ディレクターとしてこだわりのポイントなどありますか?

後神
まず、イシュタル本体の造形部分のこだわりとしては質感の作り分けにこだわりました。 肌の露出が多いので、第一に骨格や筋肉などの人体構造をしっかりと落とし込むことを考えました。その次に、腰の布部分や髪の毛のなびき方の表現、 そして王冠やアクセサリーなどの金属パーツなど、それぞれの質感が違うため、その素材の柔らかさや硬さ、影の落ち方の違いなど、個々の素材が持つ 特有のラインが出るよう、造形時に気を遣いました。





色で演出するイシュタルとマアンナの“統一感”――。


後神
髪を見てもらえればわかるのですが、うっすらとブルーのグラデーションが入っているんです。 ちょっとした部分ではあるのですが、この青色の味付けは今回のフィギュアで私が気に入っている部分の一つです。もちろんイラストでも描かれていて、 マアンナの青色やタイツ部分の紺色などと共鳴させてフィギュアとしての統一感を出すため、いろいろある青色の中から、”主張しすぎないけど、 髪色にちょっとした変化を付けられる青”を選びました。というのも、一カ所でも彩度(鮮やかさ)や明度(明るさ)が狂うと全体感を壊してしまうため、 全体を見ながら違和感が出ないようにと色の選択には気を遣いました。
イシュタルのメインカラーである金色についても、イラストに合わせることを心がけ、イシュタル本体の装飾品に使われている金は黄色寄りの金、 マアンナの金はオレンジ寄りの金を使っています。これはイラストからも読み取れる部分で、イラストをできるだけ再現するという部分にも力を入れたからこその結果です。





後神
イラストを見るとマアンナは鮮やかなブルーの中に薄い青のラインが入っているのがわかると思います。 これを塗りだけのラインで表現するのが良いか、それとも凸の造形で表現するのが良いのか、はたまた生産時での再現性はどちらが良いのかを検討した結果、 現在の形(結局、薄い青ラインを凸で表現した)になっています。また、金色部分は艶を出し、ブルー部分は半光沢にするなど、イラストを忠実に再現した ”光沢の差”というのも見ていただけると、このフィギュアをより楽しんでいただけるのではないでしょうか。 さらにマアンナは、ベースの色とグラデーションの対比をイシュタル本体よりも強くすることで、より存在感を出そうと意図していて、それに対してイシュタルは 女性キャラクターなので、肌色を綺麗に塗ってあげること、装飾品などをより魅力的に表現することで差別化を図りました。 以上のように、造形、彩色のいろいろな部分において細かく調整を図ることで、造形上接点のないイシュタルとマアンナのまとまりが出るようにと考えて彩色サンプルを作成しました。





自信あふれるその表情、そして…?


後神
選んだ理由にも挙げましたが、女神としての自信に満ち溢れる表情を再現するために瞳、そして眉毛の表情付けには 非常に気を遣いました。イラストでは口元には笑みが見られますが目元にはキリっとした印象がありましたので、造形時に微妙な口のライン調整を行ったり、 目と眉毛の角度は何度も描き直し、微調整しました。そうして出来上がった最終的な表情には、イシュタルらしさがでたのではないかと思っています。






――そして、イシュタルに加えて主武装のマアンナも付属しますが苦労したポイントなどはありますか?

後神
やっぱり何と言ってもその「大きさ」でしょうか。 3Dで造形したのですが、出力にかかる時間も通常のフィギュアよりも長く、その出力した原型を組み上げたり、勘合の調整、そして仕上げ、複製など、どのパートも 普段のスケールフィギュアより大変でした……。





後神
特にこれだけの大きさだと原型がかなり重いんですよね。イラストに近い位置になるように、 原型時にイシュタルとマアンナの位置を決める際には2~3人で取り掛かり、様々な角度から見てイシュタルとの距離感を決めていたのですが、大きさと重さには毎度悩まされました。 そして、この大きさと重さが後々の展示の際にも響いてきたんです。徳島(マチアソビ)や京都(京都国際マンガアニメフェア)、海外のイベントなど、 様々な場所で展示しましたが、この大きさですから持ち運びや組み上げが毎回大変でした。





――最後に、今後イシュタルに続いて「FGO」サーヴァントのフィギュア化等は考えていますか?

後神
自分の中で構想はあるのですがまだ内緒です。これからもFGOの魅力あるサーヴァント達を立体化していきたいと思っています。 また既に発表された”あのフィギュアたち”についても是非ご期待いただければと思います。





Post date : 17/3/2018

©TYPE-MOON / FGO PROJECT



Profile

後神智昭(アニプレックス) クリエイティブディレクター。2015年よりアニプレックスにてフィギュア商品企画を手掛ける。「冴えない彼女の育てかた 和服シリーズ」「シールダー/マシュ・キリエライト」「アヴェンジャー/ジャンヌ・ダルク[オルタ]」、「グランド・ニューイヤー マシュ・キリエライト」など。



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